カード紹介の4回目は、「4.皇帝」のカードです。
カードの解釈について
【一言】
一昔前の厳しいお父さんのイメージです。
会社を経営しているお父さん。
家でも会社でもちょっと怖い。
(キーワード)
正位置:権威、リーダーシップ、社会的責任、支配、野心
逆位置:恐怖、自己本位、責任逃れ、独善、失脚
<おおまかな解釈>
(正位置)
・厳しいことを言うのも愛情の一種です。
・大きな物事を成し遂げるのにいい機会かもしれません。ちょっと野心的になってみましょう。
・会社を経営している人や、リーダーシップのある男性と縁があるかも。
(逆位置)
・人の言うことをたまには素直に聞く必要があります。
・優柔不断で頼りないと思われているかもしれません。
・恐怖で人を支配する人に気をつけてください。
*コラムの最後の方にもイメージを書いていますので、興味がある方はご覧ください。
解釈は一例ですので、カードを見て感じたことを一番大切にされてくださいね。
象徴ワンポイント:The Pictorial Key to the Tarotを参考に
*The Pictorial Key to the Tarotはアーサー・エドワード・ウェイトが作成した「ウェイト版タロット」のウェイト公式の解説書です。古典のようなものです。ですので、かなーりマニアックな解説になります。ご興味のある方はご覧ください。
①右手の笏(しゃく)と、左手の宝珠
皇帝は古代エジプトのアンク十字の形をした笏を持っています。
アンクは「生命」あるいは「生きること」を意味しており、その形は男性原理(T字)と女性原理(卵)の結合を表しています。 また、笏と宝珠は、地上を支配する帝王権の象徴です。
ウェイトは「知性の王座に就くことで、より高い王位を意味するのである」と述べており、このカードは表面的な支配ではなく、知性面で内面から支配することを表しています。
②牡羊の頭を前に持つ肘掛のある王座と、赤と白の宝石のついた王冠
皇帝のカードは、占星術の「牡羊座」と対応しており、その象徴としてひじ掛けに牡羊の頭がつけられています。牡羊もまた「生命」や「生殖」に関係する象徴です。
また、頭の王冠は言わずもがな、彼の帝王権の象徴です。
この頭の宝石の赤と白にも意味があり、これらの色は錬金術の「大いなる業」のうちの3段階のうちの2つの段階に関わる色です。 白(アルベド:Albedo)が「再生」に関わる色である、赤(ルべド:Rubedo)が「完成」に関わる色であるといわれています。
「大いなる業」は「賢者の石」の作り方です。黒化(ニグレド:Nigredo「死」)→白化→赤化の三段階あります。
*賢者の石は、中世ヨーロッパの錬金術師が、鉛などの卑金属を金に変える際の触媒となると考えた霊薬であるだといわれています。ですが、賢者の石は、このような物質的なものを表すではなく、精神性の成長を表すものであるとも考えられています。特に、ウェイト版のタロットの世界においては、賢者の石をつくること≒人間がより高い精神性を持っていくことの比喩と考えても差し支えないと思います。
③女帝に対応する男性的な力をもつが、このカードと「女帝」には、厳密には結婚生活の状態がない。
この皇帝のカードの絵だけでは分からないことですが、ウェイトは上記のように述べています。アンクを持たせているのに夫婦関係がないというのもなんだか不思議な気もするのですが。
以前の女帝のカードにも書いたのですが、彼女は「処女受胎」できる存在ですので、たしかにそうなのでしょう。
女帝が母性を表すものならば、皇帝は父性を表すものであるという精神面での対応を表しているのだと思います。
コラム
女帝のカードと同じように、比較的解釈に困らないカードというイメージを持っています。
今の社会においてはちょっと時代遅れなお父さんイメージかもしれません(時代遅れというのは女帝のカードについてもそう言えることですが)。
とはいうものの、他人に対する厳しさだとか、野心をもつことだとか、少しギラついた感情も男女問わず時には必要な力です。
彼の背後にある景色は断崖絶壁で、彼の孤独さを表しているのだといわれています。
自らの判断で人の生き死にを決定しなければならないとき、必ず為政者は誰かから恨まれます。
生死とまではいかないまでも、誰かの利害にかかわる決断をしなければならないとき、その時も必ず誰かから恨まれます。
皇帝の顔に笑顔はありません。 為政者はいつの時代もつらいですが、強大な力や既得権益に溺れてしまうのも確かです。
私はこのカードを見たとき、厳しくも適切な指導、強引に物事をすすめてしまう人、負けない心 というイメージが湧いてきます。
*The Pictorial Key to the Tarotの解釈はミステリーアートさんの"ライダーウェイト・タロット解説(http://mysteryart.web.fc2.com/library/tarot/rw/tarwtop.html)"を参考、引用しております。主に聖書周りの解釈を引用しております。(*引用の許可をいただいております。)。ミステリーアートさんありがとうございました。
*ウェイト版の図案については大人の都合でバラバラになっています。
*カードの素敵なイラストはjohanさんの作品です。
*クメールは現存のいかなる宗教団体、また自己啓発団体とも関係ありません。オカルト解釈は趣味です。
*とりとめナイトよろしくお願いいたします♪
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