タロット短歌

短歌作家の三上りょうさんとのコラボ企画を約1か月に一度ペースでツイキャスにて行っております。

三上りょうさんが創作されたタロットにまつわる短歌を、随時掲載していきます。

素敵な作品ばかりですので、ぜひご覧ください^^


*無断で短歌を他のサイトに転載されること等はご遠慮くださいますようお願い申し上げます。

*短歌の背景の写真は加工可のフリー素材を使用しています。クメールが一部加工しております。

1.魔術師

瞞(まやか)しも君の声なら真実に

棘と唇どっちが甘い


魔術師のカードの持つ、器用さ、知恵、狡さ…そうしたイメージを元に創作いただきました。

危ないと分かっていても、抗えない魅力を持ったあなた。好きになってはいけないと分かっているのに。危険なのにどうしても魅力的な人、いますよね。

2.女教皇

理想より先に理性の恋心 柘榴の赤に染まりたいのに


女教皇のカードの持っている、恋愛に対する臆病さ、ちゃんとしなきゃと自制する気持ちをイメージとして歌ってくださいました。ザクロはカードにモチーフとして用いられています。魔術師のカードと続けて読むと、恋の駆け引き感があっていいですね。

3.女帝

glamorousその熱情に実らせて

愛を刻んだ星の王冠


女帝の持つ艶やかさと慈しみの心を詠んこんでくださいました。星の王冠は、女帝の被っている12の星のついた王冠です。glamorousという英語が入っているのがすごくいいです。

4.皇帝

ブランデーグラスの似合う生き様に

光る冠 傷は隠して


孤独な年配の経営者のようなイメージを詠っていただきました。権威を感じさせる冠ですが、その陰には傷が隠れているのです。大きな力には責任と苦しみが伴います。

5.教皇

薔薇は赤
そればかりではない標(しるべ)
あなたのもとに 育つ敬愛


教皇の持つ教育者のイメージを詠んでくださっています。私はこの歌を聞いて卒業式を思い出しました。

背景の花束の写真は、素晴らしい教えを与えた師への感謝の贈り物をイメージして選びました。選んだ花は、教皇のカードにデザインされている薔薇と百合の花です。

6.恋人

痛みまで分け合う刻を何度でも
蜜の林檎のように恋人


タロットの絵柄を読み解いていくと、この恋人たちの行き着く先は楽園追放です。

彼らは、ただ甘く幸せなだけではないというニュアンスもこの歌の中に読み込んでくださっています。

神様に造られた楽園から離れた先にあるものこそ、本当の幸せだとクメールは信じております。

7.戦車

ひとつだけみつめて明日に進むとき
白黒を知る瞳のままで


戦車の自らの信念に突き進んでいくイメージと、タロットの絵柄にある白黒のスフィンクスのイメージを巧みに詠みこんでくださっています。

疑念や、迷いを捨てて突き進まなければ解決できないこともたくさんありますね。そうすることがとても難しいときもありますが…。

8.

ライオンの君の素顔が猫になる
二人の仲は甘い束縛


体力、権力、暴力…分かりやすいものばかりが力ではありません。

そういった「力」をコントロールできるのも強力な力の一つです。

もしかしたら、この力は一番恐ろしい力かもしれませんね。

ですが、たとえ「依存」の意味合いを含むものであっても、なんだか心に温かさが満ちてくるような力だと思います。

9.隠者

迷い事ひとつふたつと解くひと
ランプに星を宿す横顔

自分の生き方が正しいのかわからなくなったとき、

人生の先輩のアドバイスを聞くと、突破口が見つかることがあります。

年を重ねるということは、それだけで大きな価値があると思っています。

10.運命の輪

あの夢の小さな翅の揺れはいま
約束された翼のかたち

あの時のふとした思いつきが、重大な人生の分かれ道となることもしばしば。

その選択は偶然のことだと感じるかもしれませんが、

実はあらかじめ定められたことなのかもしれません。