カード紹介の18回目は、「18.月」のカードです。
カードの解釈について
【一言】
さまざまな感情は、考えれば考えるほどあなたの中で育っていきます。
気づけば自分の姿しか見えなくなっている。
<キーワード>
正位置:不安、あいまいなこと、妄想、潜在意識、神秘
逆位置:目覚め、現実、はっきりしたこと、我に返る、秘密の暴露
<大まかな解釈の例>
(正位置)
・解決方法がわからない中、前に進まざるをえません。
・あなたの心の中にある不安が見通しを悪くしています。
・恋の妄想がはかどりそうです。
(逆位置)
・霧が晴れたように心がスッキリします。
・複雑な問題が解決しそうです。
・ふわふわした気持ちがいっきに冷めるでしょう。
象徴ワンポイント:The Pictorial Key to the Tarotを参考に
*The Pictorial Key to the Tarotはアーサー・エドワード・ウェイトが作成した「ウェイト版タロット」のウェイト公式の解説書です。古典のようなものです。ですので、かなーりマニアックな解説になります。ご興味のある方はご覧ください。
①右から満ちる月のシンボルと、降り注ぐ光
「月」は錬金術において銀の象徴です。このカードは「月」が本来満ちるはずのない方向である右側から満ちています。
「右側」はカバラにおける「慈悲の側(コクマー、ケセド、ネツァクを結んだ側)」に該当しており男性原理を象徴していると言われています。
この月は、16本の大きな光線と、16本の小さな光線を放っていますが、これらの線の合計の数32本はカバラの生命の木のパスの数と一致しています。
また、月からは、塔のカードと同じように、ヘブライ語の聖四文字(YHVH:יהוה)のヨッド(手:י)の形をした光(神の恩寵)が降り注いでいます。
②二本の柱
カードの中央には「死神」のカードと同じ二本の柱が描かれています。
ウェイトは、「このカードは肉体に宿る生命から離れ、(さらに高次な)想像の生命になることを象徴している」と述べています。 この柱の先は、私たちの知りえない「未知の世界(精神の向上の全世界)」へと続いており、「死神」の描く世界よりもより近い位置にあります。
また、この月のカードは錬金術の「大いなる業」の三段階の「白化(アルベド:Albedo)」に関わりがあるとも考えられています。
これは「死神」の世界で象徴された「黒化(ニグレド:Nigredo)」の次の段階で、精神的浄化や再生を意味します。
③手前にいる犬と狼、そして水から出ようとしているザリガニ
手前には茶色い犬と灰色の狼がおり、恐怖に怯えています。また、灰色の狼は犬の方向を向いており、犬に噛みつきそうです。 これは、ほの暗い月明かりの中、未知の世界へ向かっていく恐怖の心を示しています。
また、ザリガニは、無意識的にこみあげてくる、得体のしれないもの、醜悪な感情であったり、根源的な欲求のようなものを示しています。 「月」は占星術の「蟹座」と関連がありますが、足元のザリガニは「蟹座」と関連する生物であるとも考えられます。
この絵の部分をより錬金術的に解釈すると、「犬に襲い掛かる狼」は「金からアンチモンを使って不純物を取り除いて、純粋な硫黄を獲得する作業」の象徴であると考えることもできます。 錬金術の世界では「賢者の石」の生成には「純粋な硫黄」が必要だと考えられており、「金」がそれを最も含んでいる金属だと考えられていました。
また、「賢者の石」の生成には「純粋な水銀」も必要だと考えられており、それを最も含む金属は「銀」だと考えられていました。 おそらく、「月」が銀を象徴していると考えられます。
このように考えると、このカードは賢者の石(真理)の生成に必要なものは揃っているのに、作り方が覚束ない様子を示しているとも考えられそうです。
ウェイトは「知性の光は反射であり、先を見せることのできない未知の謎を超えるもの」と述べており、真の「知性」とは太陽の反射光のようなものであり、我々人間が簡単に到達しえないものだと言っています。
コラム
カード後半になるにつれてどんどん、錬金術の要素が強くなっていきますね。 (最初から最後までそうだともいえますが…) 次第に賢者の石の完成に向かっていく。
実際に占いに使うとき、この月のカード(正位置)が出た瞬間嫌な顔をする相談者さんはあまりいないのですが、説明をするとちょっと表情が曇ります。 日本の文化でははあまり月に対して悪いイメージがないからでしょうか…。 英語でルナティック(lunatic)というと「狂った・狂気の」という意味になりますが、これに該当する日本語は無いように思います。
不安が恐怖を作るというのは、今の社会状況まさにといったところです(2020/5/15)。 真理からは遠ざかりそうですが、ある程度不安をミュートすること、直視しないことが楽になるコツなのかなと思います。 考えるより手を動かすしかないですね(自戒)。
私はこのカードを見たとき、先の見えない不安、疑心暗鬼、想像力 というイメージが湧いてきます。
*The Pictorial Key to the Tarotの解釈はミステリーアートさんの"ライダーウェイト・タロット解説(http://mysteryart.web.fc2.com/library/tarot/rw/tarwtop.html)"を参考、引用しております。主に、聖書周りの部分を引用しております(引用の許可をいただいております)。ミステリーアートさんありがとうございました。
*ウェイト版の図案については大人の都合でバラバラになっています。
*カードの素敵なイラストはjohanさんの作品です。
*クメールは現存のいかなる宗教団体、また自己啓発団体とも関係ありません。オカルト解釈は趣味です。
*とりとめナイトよろしくお願いいたします♪
0コメント