カード紹介の2回目は、「2.女教皇」のカードです。
カードの解釈について
【一言】
清楚で勤勉な巫女のようなのイメージです。
神殿の奥深くでいつも神様に祈りをささげています。
けど、たまに怒るとヒステリックになって怖い。
(キーワード)
正位置:秘密(真実に近いもの)、内省、勤勉、冷静、純潔
逆位置:神経質、視野狭窄、経験不足、批判的、ヒステリック
<大まかな解釈の例>
(正位置)
・これまでわからなかったことが、頭の中でスッと整理されます。
・親しかった人とより深い精神的なつながりが得られるかも。
・よいことと悪いことを適切にアドバイスできる人が助言をしてくれます。
(逆位置)
・心配しすぎて口うるさくならないようにしましょう。
・何事も信じすぎてはいけません。ときには疑う心を持ちましょう。
・慎重になりすぎて恋のチャンスを逃しちゃわないように。
*コラムにもイメージを書いていますので、興味がある方はご覧ください。
解釈は一例ですので、カードを見て感じたことを一番大切にされてくださいね。
象徴ワンポイント:The Pictorial Key to the Tarotを参考に
*The Pictorial Key to the Tarotはアーサー・エドワード・ウェイトが作成した「ウェイト版タロット」のウェイト公式の解説書です。古典のようなものです。ですので、かなーりマニアックな解説になります。ご興味のある方はご覧ください。
①足下の月と、頭の角と球のある王冠、胸元の十字架
これらのシンボルはエジプト神話のイシス神を象徴しており、イシスは女教皇のモチーフになっています。 月の女神、水、豊穣を司る女神です*1。
イシスの夫のオシリス*2は弟のセト*3に殺されてしまうのですが、その「死後」に息子のホルスを身ごもっています。 このことから、のちにキリスト教に取り入れられて処女懐胎の原型になったと考えられています。
また、イシスは魔術の女神としても有名で、トート神(錬金術の世界においてはヘルメスと同一視)の弟子でもあるといわれています。 イシスはその高い魔力によって、父親の太陽神ラーから「真の名」を奪い、その強大な神秘の力を奪おうとしたとか…。
この女教皇の胸元の十字架も太陽を表しているといわれており、女教皇の図柄はその逸話とも無関係ではないようです。
*1 前の番号の魔術師のカードはギリシャ神話のアポロン神がモチーフにされている部分があり、太陽のイメージです。魔術師の次の番号であるの女教皇のカードは月のイメージとなっています。
*2 エジプト神話における冥界の王です。イシス、セト、ネフティス(葬祭の女神)は弟妹にあたります。イシスは妹ですが、婚姻関係にあります。
*3 戦いの神です。オシリスが、太陽神ラーから王位を譲られたからか、あるいは妻のネフティスと不倫関係にあったからか、彼を妬んでおり、殺してしまいました。
②手元に「トーラー」という巻物をもっていて、部分的に服で隠されている。
トーラーとはユダヤ教の「大いなる法」、「秘密の法」という意味であり、さらには神の「言葉(あるいは聖書)」という意味があります。
この巻物が部分的に服に隠されているのは、秘術のある部分は暗示されていたり、口伝されていたりすることを示しています。
女教皇のモチーフとなっているイシスも、奥義を授かった者だけにヴェールを上げて見せるそうですが、それを見た者は決して口外してはならないのだそうです。
③左右の黒と白の柱と、柱しにかかっているザクロとナツメヤシのベール
右側(白)にある"J"はヤキン(Jachin,またはJachim)と呼ばれ、「設立する。固くする。」という意味を持ちます。また、左側(黒)にある"B"はボアズ(Boaz)と呼ばれ、「力によって」の意味を持ちます*1。この柱はカバラ*2の「生命の木」の右(白:慈悲の柱)と左(黒:峻厳の柱)に配置されています。
ナツメヤシとザクロは、神殿建築の装飾によく使われていて、繁栄や神の祝福を表すそうです。また、ナツメヤシが男性原理、ザクロが女性原理を示しているとも解釈することができるそうです。
これらの柱とベールは女教皇の後ろにある、この世界の「秘儀」を隠していることを表現しています。
*1 ボアズとヤキンは、もともとソロモンの第一神殿(紀元前10世紀頃)にあった2本の柱なのだそうです。 ソロモンの第一神殿は、新バビロニア王ネブカドネザル2世によって破壊される (紀元前587年)までエルサレムにあったといわれています。
*2 本来のカバラは、ユダヤ教の律法を遵守すること、あるいは神から律法の真意を学ぶことを目的としたものですが(ユダヤ・カバラ)、 ここでいうカバラはクリスチャン・カバラです。クリスチャン・カバラは近代西洋魔術の理論的根拠として用いられており、生命の樹の活用を中心に成り立っているそうです。生命の木の図は「審判」、また「愚者」の解説のページにのせております。
コラム
この女教皇のカードに対して作者であるウェイトは、『彼女はまた「天界の母」そのもの』、『彼女の最も真正にして至高の名前は「シェキーナー*」…共存する栄光』と大絶賛しており、『「大アルカナ」の中で最も神聖で高位に位置するとする見方もある』とまで言っています。まるでアイドルですね。
しかしながら、占いのツールとしてタロットが用いられている現代においては、そこまで喜ばれないカードというイメージがあります。特に恋占いにおいては。
どなたかが言っていたのですが、女教皇のカードのことを「お局様カード」と名付けていました。まさに言いえて妙です。 正位置で出ても、プラトニックな恋愛をするだとか、恋でなく仕事に生きるという意味になり、逆位置に出ても恋愛に踏み込めないとか、恋人に対して感情的になってけんかになるとか、あまりいい意味になりません。
また、女教皇のモチーフになっているイシスも、信仰していくうえで、信者が基本的に女性に限られたことや、信者の女性が一定期間の純潔を守ることを教義としたことから、男性からの評判が悪く衰退していったそうです。
このカードが出てきたときはちょっと恋愛はお休みして、友達に人生相談したり、本を読んだりしながらゆっくり勉強するのがいいのかもしれませんね。
私はこのカードを見たとき、勘が冴える時期、明らかになる秘密、あまり進展しない恋愛、感情に基づいた深い信頼関係というイメージが湧いてきます。
*ヘブライ語で「地上での神の臨在の象徴・顕現」の意味です。
*The Pictorial Key to the Tarotの解釈はミステリーアートさんの"ライダーウェイト・タロット解説(http://mysteryart.web.fc2.com/library/tarot/rw/tarwtop.html)"を参考・引用しております。主に聖書周りの解釈を引用しております。(*引用の許可をいただいております。)。ミステリーアートさんありがとうございました。
*ウェイト版の図案については大人の都合でバラバラになっています。
*カードの素敵なイラストはjohanさんの作品です。
*クメールは現存のいかなる宗教団体、また自己啓発団体とも関係ありません。オカルト解釈は趣味です。
*とりとめナイトよろしくお願いいたします♪
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