カード紹介の7回目は、「7.戦車」のカードです。
カードの解釈について
【一言】
前に進め、勝利は目の前だ!
ちょっとまって、勇気と蛮勇はちがいます。
(キーワード)
正位置:勢い、猪突猛進、好戦的、スピード感、勝利
逆位置:争い、勢い不足、敗北、制御不能、浅慮
<大まかな解釈の例>
(正位置)
・悩まずに勇気をもって前にすすみましょう。今はそのときです。
・落としどころが見つかるならそこに決めてしまってはどうでしょうか?
・恋愛で急展開があるかもしれません。
(逆位置)
・無理に進もうとせず、自分の判断が正しいか振り返りましょう。
・何をやっても物事が思うように進まないかも。気分転換したらいいかもしれません。
・手ごわいライバルが出現するかも。
*コラムの最後の方にもイメージを書いていますので、興味がある方はご覧ください。
解釈は一例ですので、カードを見て感じたことを一番大切にされてくださいね。
象徴ワンポイント:The Pictorial Key to the Tarotを参考に
*The Pictorial Key to the Tarotはアーサー・エドワード・ウェイトが作成した「ウェイト版タロット」のウェイト公式の解説書です。古典のようなものです。ですので、かなーりマニアックな解説になります。ご興味のある方はご覧ください。
①戦車についているコマのようなマークと翼のついた球体。
戦車の前面にあるコマのようなものは、インドのヒンドゥー教で使われる象徴であるリンガム(linga:男根)とヨニ(yoni:女陰)がモチーフなのだそうです。
また、その上の翼の生えた球体は、エジプトの飛翔球がモチーフです。
②手に持っている剣(笏)。肩に乗っている「ウリムとトンミム」。
戦車に乗っている男性は剣を持っているとウェイトは述べていますが、どうもカードの絵では笏のように見えます(まれにウェイトが絵を間違えていることがあるらしいです)。
また、肩に「ウリム(Urim)とトンミム(Thummim)」が乗っているとウェイトは述べています。
右の肩でしょうか? ウリムとトンミムとは、銀のつるにはめた二つの石で、人が啓示を受けたり翻訳をしたりするのを助ける目的で作られた神器なのだそうです。また、ウリムとトンミムはヘブライ語で、「光と完全」を意味します。
この戦車に乗っている人物のモデルは、『旧約聖書:出エジプト記』において、モーセと共にイスラエルの民を神との約束の地へと導いたといわれるアロン*です。
アロンは、「ウリムとトンミム」を入れた「裁きの胸当て」という胸当てを着けていて、笏を持っていたといわれています。
*アロンはモーセの兄です。アロンが持っていたといわれている杖は、ワンドのキングにもモチーフとして用いられています。アロンの杖は、かつてイスラエルの民を奴隷としていた古代エジプトに十の災い(ナイル川の水を血に変える、蛙を放つ、ぶよを放つ、虻を放つ、家畜に疫病を流行らせる、腫れ物を生じさせる、雹を降らせる、蝗を放つ、暗闇でエジプトを覆う、長子を皆殺しにする(病気))をもたらしたといわれています。たまたま、この伝説が生まれた時代に、こうした自然災害がまとまって起こっただけだろうと思うのですが、怖いですね。
③戦車を引く黒と白のスフィンクス。
スフィンクスは高い知性を持つ怪物で、人に謎かけをするのを好みます(答えられなかったらその人を食べてしまいます)。
このカードの人物は、そのスフィンクスを従えて、戦車を引かせているので、彼らを知恵によって征服したと考えられます。 スフィンクスの色は白と黒ですが、これらは「善」と「悪」を表しているそうです。戦車の人物はこれら二匹をバランスよく御しています。
また、スフィンクスがかける謎かけですが、ウェイトは「自然界の神秘」にまつわるもので、「神」の世界に関するものではないと述べています。さらに、「『女教皇』が座っている『寺院』を訪れたとしたら、彼は『トーラー』と呼ばれている巻物を開くことができなかったであろう」と述べています(彼とは戦車のカードの人物です)。 このことは、つまり、この戦車に乗った人物が征服できるのは、私たち人間の世界(物質世界)までであって、精神世界までは征服できないということを説明しています。
コラム
戦車のカードは戦いだとか、勝利だとかを示すカードで、絵と解釈が一致しており、比較的意味を理解するのに困らないカードというイメージがあります。
また、白と黒のスフィンクスがバランスよく戦車を引いている姿を見ると、うまい落としどころが見つかって物事がトントン拍子に進むという解釈も浮かんできやすいです。
今回は、解釈というよりも、「アロン」について着目します。 アロンはイスラエルの民をエジプトから脱出させた後、イスラエルの民に(やむを得ず)偶像崇拝をさせてしまい、神様の不興を買ってしまいます。 その後、神様には許されたようですが、再び(今度はモーセとともに)不興を買ってしまい、ついには約束の地に入れず生涯を終えました。
この戦車の人物のモデルが、約束の地に到達できなかった「アロン」であるということもまた、「精神世界までは征服できない」ということを示しているのでしょうか?
アロンはイスラエルの民のわがままを聞いて、神の像を民に作ってあげただけでした。また次に神様の不興を買った時も、民衆のわがままを聞かざるを得ず行った行動の結果でした。
この問題の根っこを考えると、どう考えても彼や彼と行動を共にしていたモーセのせいでもないのですが、これで神様の与える世界から締め出されてしまうのはなんだか気の毒な気がします。
「焦って人にいいなりになって問題を解決をしようとしても本質をあやまるよ」、ということなのかなぁ。
私はこのカードを見たとき、スピード解決、争う気持ち、勝利、適度なバランス感覚 というイメージが湧いてきます。
*The Pictorial Key to the Tarotの解釈はミステリーアートさんの"ライダーウェイト・タロット解説(http://mysteryart.web.fc2.com/library/tarot/rw/tarwtop.html)"を参考、引用しております。主に、聖書周りの部分を引用しております(引用の許可をいただいております)。ミステリーアートさんありがとうございました。
*ウェイト版の図案については大人の都合でバラバラになっています。
*カードの素敵なイラストはjohanさんの作品です。
*クメールは現存のいかなる宗教団体、また自己啓発団体とも関係ありません。オカルト解釈は趣味です。
*とりとめナイトよろしくお願いいたします♪
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