カード紹介の13回目は、「13.死神」のカードです。
カードの解釈について
【一言】
大切なものを失うと、つらくて心がばらばらになりそうになる。
けれど、壊れることであたらしいことが始まる。
<キーワード>
正位置:終わり、再生、覚悟、区切り、白黒つく
逆位置:未練、次に進めない、生殺し、腐れ縁、起死回生
<大まかな解釈の例>
(正位置)
・あなたの大切にしてきた物事を失ってしまうかもしれません。
・関係を終わりにする勇気も必要です。別れてもあなたは無価値ではありません。
・覚悟があればいい再スタートが切れます。
(逆位置)
・良くない状況が続き苦しみそうです。
・だめになったものにしがみつくことはやめましょう。
・自分が変わりたいと思う気持ちを大切にしましょう。
象徴ワンポイント:The Pictorial Key to the Tarotを参考に
*The Pictorial Key to the Tarotはアーサー・エドワード・ウェイトが作成した「ウェイト版タロット」のウェイト公式の解説書です。古典のようなものです。ですので、かなーりマニアックな解説になります。ご興味のある方はご覧ください。
*ウェイトはこのカードの名称を「死」としていますが、今回のカード紹介ではよく使われている「死神」という名称を用いています。
①骸骨の騎士と、二つ柱の間の太陽のような光
この骸骨の騎士は「新約聖書:ヨハネの黙示録」の四色の馬に乗った黙示録の四騎士がモチーフです。
黙示録の四騎士はそれぞれ、地上の支配(白馬)、戦争(赤馬)、飢饉(黒馬)、疫病や獣害(青馬)をもたらす役割を担っていて、人間に死をもたらします。 このカードの骸骨の騎士は「死」の象徴です。
しかしながら、彼は「(兜の)赤い羽根、白い薔薇」という、「愚者」のカードと共通したモチーフも持っています。 これは、愚者のカードの人物の精神が「死んで」生まれ変わろうとし、より高みに昇っていく様子を示しているといえます。
この死神のカードは錬金術の「大いなる業*」の「黒化(ニグレド)」のプロセスと深く関係があるといわれています。 黒化は「大いなる業」の三段階の「第一段階目」で、死、個性化、浄化、不純物の燃焼のプロセスです。 また、背後にある柱の間の太陽のような光は、生まれ変わりの先にある「霊魂(精神)の向上の全世界」を示しています。
*大いなる業とは、錬金術における「賢者の石」を作るプロセスです。賢者の石を作るとは、人間の意識変容(神人合一、有限と無限の合一に至るまでの道)の例えであるといってもよいと思います。
②骸骨の持つ薔薇の旗
骸骨が持っている旗には「生命を意味する『神秘の薔薇』の紋章」がついています。
この薔薇の紋章は秘密結社の「薔薇十字団」と密接に関係があります。 薔薇十字団は、薔薇(東洋の叡知)と十字(キリスト教)を結びつけた教義により、錬金術を解釈しています。
このカードの神秘の薔薇の形は「魔術師」のカードにも出てきた「シャロンの野ばら」ととても良く似ています。このカードの場合の「シャロンの野ばら」は「むくげの花」です。
③骸骨の騎士の前で倒れている人々と、合掌している聖職者、しゃがんでいる子供 倒れている人物
(王のような人物と女性)は死を迎えており、聖職者は自らの最期を待っており、子供はおびえているようです。 また、子供と女性に頭には殉教を意味する赤い薔薇がついています。
これは私の解釈なのですが、このカードの人物たちは、おそらく「審判」のカードで復活している人物たちと対応関係があるのかな思っています。
子供、女性、男性(聖職者)の顔がそれぞれよく似ていると思いませんか?
支配の象徴である「王」にあたる人物が復活していないのが印象的です。
「王のような人物」は精神の高みに到達できず、聖職者と赤い薔薇を付けていた女性と子供は神のたもと(より高い世界)へ行けたということなのでしょうか?
コラム
以前占いをしたときに出てきたときに、相談者さんが見た瞬間に「うげっ!」といったカードでした。 見た目が非常に不気味なので、お気持ちはとても分かります。
私個人としては、見た目は気持ち悪いですが好きなカードです。 苦難や失敗は待ち受けているけれども、そこから逃げ出さなければもっといい未来が待っているんじゃないか、 このカードを見ているとそんな気持ちになります。
私はこのカードを見たとき、すべての終わり、生まれ変わり、悲しみの中の希望 というイメージが湧いてきます。
*The Pictorial Key to the Tarotの解釈はミステリーアートさんの"ライダーウェイト・タロット解説(http://mysteryart.web.fc2.com/library/tarot/rw/tarwtop.html)"を参考、引用しております。主に、聖書周りの部分を引用しております(引用の許可をいただいております)。ミステリーアートさんありがとうございました。
*ウェイト版の図案については大人の都合でバラバラになっています。
*カードの素敵なイラストはjohanさんの作品です。
*クメールは現存のいかなる宗教団体、また自己啓発団体とも関係ありません。オカルト解釈は趣味です。
*とりとめナイトよろしくお願いいたします♪
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