21.世界のカード

カード紹介の22回目は、「21.世界」のカードです。


カードの解釈について


【一言】 

「完結」は新しいことのはじまり。 

すべてを手にした後、次は何をやってみたいですか? 


<キーワード> 

正位置:完成、達成、完全、悟り、最高の結果 

逆位置:未達、未完成、不満足、中途半端、不完全


<大まかな解釈の例>

(正位置) 

・自分のできることすべてをやり遂げ、満ち足りた気持ちで目的を達成できるでしょう。 

・新しい目標が出来そうです。 

・問題が完璧な形で解決します。  


(逆位置)

 ・なにか中途半端にしていることはありませんか? 

・思い通りにならないからといってがっかりしないようにしましょう。 

・完成にはまだまだ遠そうです。 



象徴ワンポイント:The Pictorial Key to the Tarotを参考に

*The Pictorial Key to the Tarotはアーサー・エドワード・ウェイトが作成した「ウェイト版タロット」のウェイト公式の解説書です。古典のようなものです。ですので、かなーりマニアックな解説になります。ご興味のある方はご覧ください。

*ウェイトが象徴に関してあまり明言をしていないため、今回のカードは多くが憶測になります。


①四隅の獅子、牡牛、人、鷲 

以前「運命の輪」でもご紹介した、獅子、牡牛、人、鷲が世界のカードでも登場しています。 

しかしながら、今回は彼らは書物を持っておらず、色も黄色の単色ではありません。 

これは私の憶測なのですが、書物を持っていない理由は、このカードにおいては、彼らを福音書を書いた使徒(マルコ、ルカ、マタイ、ヨハネ)を暗示するものとして用いていないということ、また、黄色で描かれていない理由は、聖櫃(契約の箱)の黄金のケルビム(智天使)*1でもないということを示していると思います。

おそらく、「世界」のカードは私たちが「神人合一」の状態であること、つまり、人が神からの守護や監視から離れ、神と対等、またそれ以上の存在になったことを示しているのではないでしょうか? 

このカードでの、獅子、牡牛、人、鷲は、世界を構成する要素である四大元素を純粋に表現しているのだと思います*2。 

*1 ケルビムは「エゼキエル書」において獅子、牡牛、人、鷲が合わさった姿をしているとされています。伝承では聖櫃の上に、黄金のケルビムが2体ついていたそうです。聖櫃の中には、神様との約束である十戒が納められていました。

*2 獅子(火)、牡牛(地)、人(風)、鷲(水)です。 


②中央にいる全裸の女性 

世界の根源、始原の存在である「世界霊魂」のことをアニマ・ムンディ(Anima mundi)と呼びますが、錬金術の世界では、女性の姿で描かれることが多く、おそらく、「世界」の人物もアニマ・ムンディを表現していると思います。

 また、この女性は、「魔術師」が天に掲げていた杖と同じものを、それぞれの手に持っています。これも憶測になりますが、これは、彼女が「上(天)」の力と「下(地)」の両方の力を手にしていること表現していると思います。 この人物の股の部分が隠されていますが、これはこの女性が、実は両性具有であること、つまり男性性と女性性が「結合」した完全な姿をしていることを示していると考える説もあります。


③女性を囲む赤い布が巻き付いた輪 

ウェイト版でないタロットの「世界」には、女性ではなくイエスキリストが中央にいるものがあり、そのキリストには「マンドルラ」というアーモンド形の身光がついています。 ウェイトは、「図案の点では、(従来のものから)変化していない」と述べており、おそらく彼女を包む輪もマンドルラのようなものであると考えられます。 

しかしながら彼女を包む輪は蛇のうろこがついており、上下に∞の形をした赤い布がついています。また輪もアーモンド形というよりも数字の「0」に近いです。 おそらくこれは、「0は∞と同じである」ということ、「上は下、下は上である」ということを表現していると考えられます。また蛇はのうろこは「ウロボロス」を表現しており、魂の循環の永続性を示していると考えられます。

 これもまた憶測なのですが、「0」は「愚者」のカードの番号であり、彼女が再び始原の場所に帰っていくことを示していのではと考えています。

*生命の木はアイン(無:0で表します)から始まりました。そして、アインからアインソフ(無限:00で表します)が生まれ、アインソフからアインソフオウル(無限光:000で表します)が生まれました。アインソフオウルから一つのセフィラ(ケテル)が生まれ、そこからさらに10のセフィラが生まれ生命の木となったといわれています(生命の木のは、愚者審判のカードの解説を参照されてください)。この世界のカードは0と、∞が隠されており、合計で三つの0があるとも言えそうですが、アインソフオウルを暗喩しているのでしょうか?



コラム


とうとう最後の「世界」のカードに到達しました。 大アルカナの説明をする前に、「大アルカナは人生の旅である」ということを書いたのですが、これで「愚者」は到達点に達します。 しかしながら、「上は下、下は上」です。ふたたび、彼は新しい旅に旅立ってしまいます。


 私はこのような解説を書いておきながら、あまりスピリチュアルなことは信じていません。 しかしながら、昔の魔術師や神秘主義者が深く研究を行い、東洋と西洋の思想を融合させ、このような、「心の探求」の旅を生みだしたのだということが理解できました。


 合理性は進歩を生み出しますが、心の疲労を生み出し、結局人間を壊してしまって先に進めなくしてしまいます。

このカードの解説を読んでくださった皆様も、つらくなったとき、私たちの内面に広がる広大な世界のことを少しだけでもいいので思い出してみてください。  


私はこのカードを見たとき、完成、完全性、終わりは新しい始まり というイメージが湧いてきます。 



*The Pictorial Key to the Tarotの解釈はミステリーアートさんの"ライダーウェイト・タロット解説(http://mysteryart.web.fc2.com/library/tarot/rw/tarwtop.html)"を参考、引用しております。主に、聖書周りの部分を引用しております(引用の許可をいただいております)。ミステリーアートさんありがとうございました。 

*ウェイト版の図案については大人の都合でバラバラになっています。 

*カードの素敵なイラストはjohanさんの作品です。

*クメールは現存のいかなる宗教団体、また自己啓発団体とも関係ありません。オカルト解釈は趣味です。 

とりとめナイトよろしくお願いいたします♪ 

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